Earthquake Information Center
東京大学地震研究所地震予知情報センター

-台湾地震特集-

台湾地震に関する国内外の情報をまとめてあります.

[English]


NEW 台湾地震現地報告ができました!

NEW10月22日Ms5.6の地震が発生しました.

概要
1999年9月21日台湾中部の地震

 台湾中部で21日午前1時47分ごろ(現地時間)にM7.6の大地震が起こり,建物約3万棟が倒壊した.震源地は南投県集集鎮付近である.地震による被害は震源に近い南投県や周辺の台中市などの台湾中部に集中した.震央から約150km離れた台北市でも12階建てのビルなどが倒壊した.死者・行方不明者は4800人を超えた.国連人道問題調整事務所の要請を受け,日本政府は過去最大規模の国際緊急援助隊を派遣した.

 台湾では日本の旧8階級震度階から震度7を除いた7階級震度階が使われている.台湾中央気象局の調べによると,台湾各地の震度は,名間,台中で震度6,南投,日月潭,嘉義,台南,新竹で震度5,台北,高雄で震度4である.[地図] 日本の沖縄県西表島と与那国でも震度2が観測された.

 菊地教授は地震波の波形解析からメカニズムを求めた.それによると,メカニズムは東西圧縮の逆断層運動である.推定断層面は東傾斜で,傾斜角は27度である.断層の長さは80km,幅は40km,平均すべり量は2.2mである.破壊は主に北へ進行し,破壊運動は28秒続いた.断層を境に,東側のブロックが西側のブロックの上に乗り上げたとみられる.

 台湾では,震央付近の地名から今回の地震を「集集(チーチー)大地震」と呼んでいる.長さ50km以上にわたって,台中市東方に縦ずれ成分に富んだ地表地震断層が出現した.断層の走向はほぼ南北で,東側が西側に対して2〜6mほど隆起した.台中県豊原市の大甲渓では,川底に生じた約5mの段差が滝をつくった.台中県霧峰では,垂直変位2〜3mの断層が中学校の陸上競技場を横切った.

 過去の被害地震で死者がもっとも多かったのは,死者3276人を出した1935年新竹・台中地震(Ms7.1)である.今回の地震の規模はこのMをはるかに上回り,内陸地震としては今世紀最大である.

 台湾の東海岸付近では,台湾をのせたユーラシアプレートに,フィリピン海プレートが南東から衝突している.そのため,台湾の内陸部は圧縮の力を常に受けており,そのひずみによって生じた活断層が発達している.今回の地震は,その活断層の一つが動いたとみられる.

9月22日現在.[阿部勝征]

震度情報 : 中央気象局

本震・余震のメカニズム[MAP]

NEW 写真集 (阿部勝征教授撮影)

最新の概要(10月8日現在)

震源情報

震源過程

EIC地震学ノート No.66 9月21日台湾の地震(Ms7.6)

Spatiotemporal Distribution of Source Rupture Process for Taiwan Earthquake (Revise)
IRISの遠地記録(11観測点)から断層面上のすべりの時空間分布を求めています.
GSC Pacific - Ottawa Geological Survey of Canada Natural Resources Canada

CMT解

ハーバード大
地震研究所
アメリカ地質調査所
データ
●高感度広帯域地震計による波形   |上ノ国(北海道)| |筑波(茨城県)| |白木(広島県)|
   日本国内で記録された地震波形(3成分,速度波形)をみることができます.
地震活動

余震活動

米国地質調査所QEDの震源情報より
地震直後約50時間の余震分布です.データは,米国地質調査所QEDの震源速報の暫定値で今後変更される可能性がありますので,ご注意下さい.本震は☆でプロットしています. [1999/09/30更新]
台湾中央気象局より

台湾の過去の被害地震

宇津徳治先生の「世界の被害地震の表」(紀元前3000年から1998年まで)から 台湾の過去の被害地震(死者100人以上)をリストしたものです.

過去の地震活動

ISC地震カタログより
1964/01-1995/02 M>=4.0 H<=100km の地震をプロットしています.
(地震予知研究推進センター吉井敏剋教授作成)
テクトニクス
台湾地震のテクトニックな解釈
地球ダイナミクス瀬野徹三教授提供
地殻変動
GPSで見た台湾地震
地震予知研究推進センター加藤照之助教授提供
台湾における臨時観測
NEW 余効的地殻変動の観測
NEW 台湾臨時余震観測
地震地殻変動観測センター提供[1999.11.05]
リンク集
参考文献

Last Update: 1999/10/22


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