前号に引き続き、3月からサービス開始された新システムの並列化性能などについてご紹介します。 |
★日本名は「SGI LX 3000」★ |
米国では「SGI
Altix 3000」ですが,日本では商標の関係でAltixという名前が使えず「SGI LX 3000」と名付けられました。
LX 3000には、LX 3300 ServerとLX 3700 SuperClusterの2種類のモデルがありますが、本センターが導入したものは、3台ともにLX
3700 SuperClusterです。このため以下では、シリーズ全体のことを言う場合にはLX 3000と呼び、本センターのeicのことはLX
3700と呼ぶことにします。
(写真 本センターに導入されたSGI LX 3700システムの概観)
*4/16から日本でもAltix3000と呼ばれるようになりました*
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★CPU単体性能は現時点で最高★ |
LX 3000で採用しているIntel Itanium2の単体性能は、浮動小数点演算の性能を示すSPECfp値で見ると1431(マシンはHP)で現時点での最高速を誇っています。 |
★並列化性能も現時点で最高★ |
LX
3000の並列化性能を、浮動小数点演算の並列化性能を示すSPECfp_rate値で比較してみると、これも今のところ最高の並列化性能を誇っています。
図1は、他の複数の機種で最高のSPECfp_rate値とLX 3000のSPECfp_rate値を比べたものですが、いずれもLX
3000がトップであるだけでなく、CPU数に比例して値が大きくなっています。これは、LX 3000では、並列CPU数を64CPUまで増やしたとき並列化性能があまり頭打ちにならないことを意味しています。このようなことから64CPUの場合、他機種に比べて約2倍と圧倒的な性能が得られています。
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★Origin 2000の8.8倍を達成!?★ |
利用者数名に、以前のOrigin 2000システムとの性能比較を伺ったところでは、多くの方から4〜5倍以上速いとの感想を頂いています。図2は、あるユーザから頂いた具体的な性能比較のデータですが、この方のジョブの場合は同じCPU数で6倍以上の高速化が得られています。特に、16CPUのときは8.8倍も高速化されたようです。
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★MPIジョブが特に速い!★ |
図2のユーザジョブは、MPIで並列化されたものでした。本センターの予備調査でも、MPIで並列化されたジョブに対し、LX 3000は他の機種に比べて非常に優れた並列化性能を示していました。前のOrigin
2000システムもMPIジョブの並列化性能は悪くはなかったのですが、今回導入したLX 3700では、MPIに関してはさらに効率よく並列化されるようです。 |
★大量の共有メモリで使いやすく★ |
LX 3000は共有メモリ型並列計算機です。1台のシステムの中では、どのCPUからもメモリが利用可能であるため、複数のジョブが実行されている本センターのような場合、大量の共有メモリが無駄なく使えるというメリットがあります。本センターでは、E,Fジョブ用の並列計算サーバ(64CPU)と、B,C,Dジョブ用の高速計算サーバ(32CPU)にそれぞれ128GBのメモリを載せています。また、AジョブとTSS用のフロントエンドサーバ(12CPU)にも32GBのメモリを載せています。前のシステムでは、全体で40GBしかなくて、メモリ不足で利用できないことがままありましたが、新システムLX
3700ではメモリに関しても十分ご満足いただけるものと思います。 |
★Linuxのプログラムがそのまま動く!★ |
3月にサービス開始してすぐに、「Linuxで使っているプログラムがそのまま使えるのがうれしい」という感想を頂きました。確かにそのとおりですが、Itanium2は64ビットマシンですので、eicのコンパイラでコンパイルするとさらに速くなるのではないかと思います。また、Linuxユーザの声を受けて、Intel
のMKL科学技術計算ライブラリも現在試験的に利用可能にしています。 |
★並列化のおまじないdplace★ |
LX 3700で並列計算をする場合に、特に注意したいのは、必ずdplaceを使ってプログラムを実行するという点です。dplaceはプログラムやデータのメモリ配置を並列計算用に最適化するものです。予備調査によれば、このdplaceを使わない場合、数割以上遅くなるという結果が出ています。
その他、並列計算をより効率よく行うためのツールやノウハウについては、後述の利用マニュアルの該当する解説をご覧ください。 |
☆LX 3000の第1号機の記念の楯☆ |
3月28日に、米国SGI社社長兼CEOのRobert Bishop氏が本センターを訪問されて、「LX 3000の第1号機の記念の楯」を贈呈して頂きました。(写真参照) |
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